【クリスタ】M1搭載MacBook Airのお絵描き環境についてレビューする【Sidecar】

レビュー
この記事はこんな人におすすめ
  • 新型MacBookAirのレビューが気になる人
  • macOS機でのお絵描き環境の構築を考えている人

  

はしゅ
はしゅ

こんにちは。

Apple信者歴7年のはしゅです。

 

前回のクリスタを用いた検証記事お絵描き環境のレビューも気になるとのコメントをいただいたので、今回の記事では、M1チップを搭載した新型MacBook AirのCLIP STUDIO(以下、クリスタ)お絵描き環境についてiPad版クリスタと比較しながらレビューしていきたいと思います。

macOSには、Mac機を母艦としてiPadをサブディスプレイ化する機能Sidecar』があります。Sidecarを利用することで、Macと繋いだiPadとApple Pencilを使って液タブのようにクリスタで絵を描くことができます。

このレビュー記事では、Sidecarで新型MacBook Airと接続されたiPad Pro(2018モデル)で検証を行いましたので、購入を検討している方はぜひ参考にしてください。

最初に結論を言ってしまいますが、個人的には、気になるところはあるものの十分メインの環境として実用可能な範囲だと感じています。

はしゅ
はしゅ

ちなみに私自身はイラストレーターでもなんでもなく、趣味でお絵描きをしているただのエンジニアです。

そこのところはご了承願います。

それでは解説していきます。

はしゅのお絵描き環境

はしゅのお絵描き環境

母艦となるMac機

母艦となるMac機には、M1チップを搭載した新型MacBook Airを使用しています。スペックは以下の通りです。

はしゅのMacBook Air
  • 2020年11月に発売したMacBook Air
  • チップ:M1チップ(7コアGPU)
  • メモリ:8GB
  • ストレージ:256GB

お絵描きするに当たって、メモリ増設は気になるところだと思いますが、個人的には8GBで満足しています。

この理由についてはこちらの記事で説明しています▼
【検証】新型MacBook Airはクリスタのレイヤー何枚で処理落ちするか【M1チップ】

サブディスプレイとなるiPad

サブディスプレイとなるiPadには、2018年モデルのiPad Proを使用しています。こちらのスペックは下記の通りです。

はしゅのiPad Pro
  • 2018年11月に発売したiPad Pro
  • Apple Pencil:第2世代
  • メモリ:4GB
  • ストレージ:256GB

iPad Proの大きな特徴として、ディスプレイにProMotionテクノロジーを採用しているという点があります。

ProMotionテクノロジーにより、画面のリフレッシュレートは120Hzとなるわけですが、2020年10月に発売したiPad Air(第4世代)にもこの機能は搭載されていません(iPad Airのリフレッシュレートは60Hz)。

そのため、iPad Pro以外の機種でのお絵描き環境の使用感は、この記事の内容とは若干異なる可能性があることには注意が必要です。

60Hzと120Hzの比較については、この動画がわかりやすいです。

iPad Pro 10.5-inch ProMotion 60 vs 120Hz Latency Test with Apple Pencil

システム要件(動作環境)

クリスタをmacOS機で使用するに当たっては、クリスタ側Sidecar側(macOS機、iPad)で以下の動作環境が推奨されています。

CLIP STUDIOの動作環境

クリスタ側の動作環境ですが、CLIP STUDIO公式サイトによると、2020年11月9日に公開されたCLIP STUDIO PAINT Ver.1.10.3よりApple M1チップ搭載のMacに対応したようです。

これにより、M1を搭載した新型MacBook Airにおいてもクリスタがネイティブアプリとして動作するため、複数ページの書き出し画像の出力描画の処理速度の向上が期待できます。

実際に使用していても、途中に変換を噛ませているようなもっさり感は感じられず、全体的にサクサク動作することが確認できました。

ただし、公式による動作確認済み機種では、Sidecarを利用したiPadへの対応については明記されていません。

動作確認済み機種液晶タブレット

・Wacom One (DTC133)

・Cintiq Pro 16 (DTH-1620)

・Cintiq Pro 24 (DTH-2040)

CLIP STUDIO公式サイト

後述するレビューで詳細は綴っていますが、例えば、動作自体は問題ないものの、Apple Pencilをダブルタップしたときに設定した動作が行われないといった仕様が確認できました。

Sidecarのシステム要件

Apple公式サイトによると、Sidecarを使用できる機種には、母艦となるMac側とiPad側で以下の制限があります。

システム要件を満たさない機種の場合にはSidecarの動作保証がされないため、自分の所持している機種がシステム要件を満たしているか確認してください。

Mac側のシステム要件

・MacBook Pro (2016 年以降のモデル)
・MacBook (2016 年以降のモデル)
・MacBook Air (2016 年以降のモデル)
・iMac (2017 年以降のモデル) または iMac (Retina 5K, 27-inch, Late 2015)
・iMac Pro
・Mac mini (2018年以降のモデル)

Sidecarのシステム要件

iPad側のシステム要件

・iPad Pro (全モデル)
・iPad (第6世代以降のモデル)
・iPad mini (第5世代以降のモデル)
・iPad Air (第3世代以降のモデル)

Sidecarのシステム要件

Sidecarの使用感

ここではSidecar機能の使用感についてレビューしていきます。

無料でここまでの機能を実現しているのは、端的に言ってすごいと思います。

無線でも体感としては有線と変わらない接続性

MacとiPadのSidecarでの接続は、有線・無線どちらでも簡単に接続することができます。

私が試してみた限りでは接続方法の違いで応答性に差異は感じられませんでした。ですので、接続の仕方については個人の好みで良いかと思います。

個人的には、基本無線で繋いで充電がなくなってきた頃に有線に切り替えるといった運用をしています。ただし、無線で接続しているとiPad側の充電を確認しづらくなることには注意が必要です。

また、有線で繋いでいる場合、Mac側を電源に繋いでいなくてもiPadへの給電が優先されるようです。新型MacBookは充電時間が比較的長いものの、iPadに給電している際には充電の減りが早くなるので気をつけたいところです。

iPad側ではSidecarはアプリとして認識される

iPad側の画面

Sidecar機能は、iPad側では1つのアプリという扱いになるようです。そのため、上記画像のようにiPad側でアプリの切り替えができます。

だから何?と思われる方がいるかもしれませんが、個人的には良い仕様だと思っています。

例えば、MacにSidecarで繋いでいる状態でも、iPad側のアプリで何かしたいといった時にはアプリ切り替えからすぐにiPad側の操作に切り替えることができます。(運用のイメージとしては、iPadの画像をMacにAirDropで送ってMac側で開くといった用途とかですかね。)

また、サブディスプレイを繋ぐと接続の際に、フリーズだったり解像度がおかしくなったりといったことが私の経験的には往々にしてあったわけですが、SidecarではApple純正の製品同士を繋いでいることもあり、この辺りの動作性が非常に快適です。

私はWindows機を使用していた頃にDuet Displayという有料アプリでiPadをサブディスプレイ化して運用していたのですが、安定性や動作性の面で正直使い勝手はあまり良くなかったです。

これを経験しているので、無料でここまでの機能を実現してくれたAppleさんには感謝しきりです。(Apple信者感)

iPadへの指一本の操作は受け付けない

個人的に最初戸惑ったのが、Sidecarで繋がれているiPadへの指一本の操作は受け付けないことです。

例えば、開いているブラウザに対して指二本でのスクロールや拡大といった動作はできるのですが、指一本でのスクロールやクリックはできません

そのため、ブラウザのリンクをiPadへのタップ動作で開くといった運用はできないということになります。

こうした操作をしたい場合、Apple Pencilがマウス代わりになるので、Apple Pencilを使う必要があります。

iPad版クリスタとMac版クリスタの比較

それでは、本題に入ります。

ここでは、SidecarによるMac版クリスタCLIP STUDIO PAINT for macOS(Apple M1))をiPad版クリスタCLIP STUDIO PAINT for iPad)と比較しつつ、メリット、デメリット、変わらない点を記載していきます。

メリット

メリット
  1. メモリの暴力
  2. 作業がMac1台のみで完結する
  3. キーボードのショートカットキーが使える
  4. マウスでアイコンの説明が出る
  5. 月額制ではなく買い切りのライセンス

メモリの暴力

2018年モデルのiPad Proのメモリは4GBと言われています。(最上位の1TBモデルのみ6GBのメモリを搭載しているようです)

つまり、単純に考えると、私が使用している新型MacBook Airはメモリが8GBなわけですから、2倍のメモリを積んでいるわけです。

iPadOSとmacOSでOS差はあるものの、このメモリの差はお絵描きをする上では大きいものだと思います。

実際、こちらの記事(【検証】新型MacBook Airはクリスタのレイヤー何枚で処理落ちするか【M1チップ】)と同じ条件でiPad Proを検証をしてみた結果、MacBook Airは500枚のレイヤーでもサクサク動作したところが、iPad Proでは300枚程度のレイヤー数でも初動でカクツクことが確認できました。

また、iPadにメモリを増設することはできませんが、Mac機であればメモリを増設したカスタマイズも可能です。

お絵描きにある程度のメモリを確保したい、後述するように複数アプリを立ち上げながらお絵描きしたいという方にとっては大きなメリットだと思います。

作業がMac1台で完結する

Mac機でお絵描きをする場合、作業がMac1台で完結する点が非常に便利だと感じました。

例えば、『参考資料を並べながら描く』、『別のアプリ(DiscordやLINE等)を起動しながら描く』といったことは、iPadだけで作業するには難しいでしょう。

しかし、Sidecarを利用してMac機でお絵描きをする場合は、このような運用が可能です。

実際に試してみましたが、8GBメモリのMacBook Airでも、Discordで通話しながらブラウザを複数枚起動して調べ物をしつつ描くといった運用は問題ないことが確認できました。

キーボードのショートカットキーが使える

元々iPadにBluetoothキーボード等を繋ぐ運用をしていた方には関係のない話かもしれませんが、当然クリスタのショートカットキーをMacBookのキーボードから使用できます

私がiPad Proでお絵描きをするときは、Apple Pencilと指のジェスチャーに割り振ったショートカットキーだけで運用していたため、ブラシのサイズ変更などで若干のもどかしさを感じることがありました。

その点、キーボードをそのままショートカットキーで使えることはメリットだと感じています。

補足ですが、MacBook AirにAnker社製Bluetoothキーボードを繋いだ状態でも問題なくショートカットキーが動作したため、タブメイト等のBluetooth接続の片手入力デバイスも使用できると思います(動作保証はしかねます)。

マウスでアイコンの説明が出る

これも元々iPadにBluetoothマウス等を繋いでいた方には関係のない話かもしれませんが、マウスをペンや消しゴム等のアイコンに近づけるとアイコンの説明が出ます。

私はクリスタの機能を全て使いこなしているわけではないので、結構な頻度で「このアイコンって何の機能だっけ?」となるわけです。

iPad版クリスタではApple Pencilをアイコンに近づけても特に説明が出ないので、その都度調べていたのですが、Mac版ではマウスをアイコンの位置に持っていくだけで説明が出るので都度調べる必要がありません。

地味ですが結構便利です。

ちなみにiPad版クリスタでもBluetoothマウスを使用すれば説明が出るので、Mac版クリスタにしかない機能というわけではありません。

月額制ではなく買い切りのライセンス

おそらくこれが最大のメリットでしょう。

クリスタ公式の購入ページによると、クリスタのライセンスはiPadで使用する場合、月額利用プランしか選択肢がありません。価格は、1デバイスで月額480円2デバイスで月額800円となっています。(年額利用の場合、1デバイス2800円)

一方、macOS及びWindowsで使用するには買い切りのライセンスを選択することができます。価格は5000円で、macOS機とWindows機の2デバイスで使用が可能です。

単純に考えると、月額利用プランだと11ヶ月目で5280円となり買い切り額を上回るわけですが、月額利用となると心理的ハードルも高くなることでしょう。

おそらくクリスタを開発するセルシス社もiPadでクリスタが使える利便性に需要があると考え、このような料金プランにしていると思われます。

Sidecarを利用すれば、Macを母艦として実質的にiPadでクリスタの買い切りライセンスを使うことができます。これは大きなメリットと言えます。

また、少し値段が上がりますがAmazonから購入することも可能です。

デメリット

デメリット
  1. Apple Pencilのダブルタップ機能が使えない
  2. ピンチしながら回転など2つのタッチ動作を同時にできない
  3. 一本指タッチが使えない

Apple Pencilのダブルタップ機能が使えない

iPad Proの設定画面

iPadでは、Apple Pencilでダブルタップした時の機能を、上記画像のように設定から割り振ることができます。

私がiPad版クリスタを使用していた時は、よくダブルタップでペンと消しゴムを切り替えていたわけですが、Sidecarで繋いだ状態でのiPadでは、この機能は使用できませんでした。

スワイプしながら拡大といった2つのタッチ動作を同時にできない

Mac版クリスタでは、環境設定ウィンドウ>タッチジェスチャーから画面をタッチした時の操作を割り振ることができます。

クリスタの環境設定ウィンドウ

例えば、『二本指でスワイプ』に『キャンバスを移動』『二本指でピンチ』に『キャンバスを拡大縮小』等を割り振ることができますが、これらを複合して動作させることはできませんでした

つまり、複合した動作をしたい場合には、一つの動作を終了した後に指を画面から一度離す動作が必要になります。

私がiPad版クリスタで絵を描く時には、指でキャンバスを回転させながら拡大したり、キャンバスの大きさを変えながらあちこち移動するといった運用をよくしていました。iPad版クリスタに慣れていた私にとってはそれが普通だったのですが、Mac版クリスタではこのような運用はできません

この点は、私にとって少し不便に感じられる点です。

ちなみにですが、スワイプの際のスクロールの方向は、システム環境設定>トラックパッドウィンドウの『スクロールの方向』のチェックボックスを変更することで好きな向きに設定できます。

一本指タッチが使えない

クリスタではSidecarによる一本指操作に対応していません。これは公式サイトにも明記されています。

Sidecarでは、1本指のタッチ/スワイプ操作に対応していません。
アプリ内でタッチ操作が必要な場合には、Apple Pencilを使って操作を行ってください。

クリスタ公式サイト

クリスタ公式に記載を見る限り、これはクリスタの仕様というよりもSidecarの仕様によるもののようです。

個人的には一本指タップでのスワイプ操作をよく使用していたので、何も動作しないことに少なからずの違和感があります。

対策としては、『二本指でスワイプする』、『ショートカットキーで移動に切り替えてからApple Pencilでスワイプする』等が考えられますが、慣れを要しそうです。

変わらない点

画面GUI

GUIは、iPad版クリスタもMac版クリスタも大きく変わらないと思っていただいて問題ありません。

iPad版クリスタGUI
Mac版クリスタのGUI(ドックが下に配置される)

上の画像2枚は、Mac版クリスタで以前まで使っていたiPad版クリスタのGUIを再現した様子です。

私が使っていた範囲という条件にはなりますが、問題なくMac版でも同じ配置が実現できました

ただ、Mac版クリスタを使う際には、ディスプレイのメイン画面をiPad側に設定することが想定されますが、そうするとドックが下に配置されるので表示範囲が狭くなるという問題があります。

サブディスプレイ側にクリスタを移動させることも可能ですが、私が確認した限り、コマンドバーだけはサブディスプレイ側に移動させることができませんでした

サブディスプレイにクリスタを移動
AirPlayディスプレイの設定からマウスカーソルの矢印がついている白い上線を移動させるとメインディスプレイを変更できる

クリスタでの遅延

iPad版クリスタとMac版クリスタのApple Pencilによる描画について、以下の条件での遅延を検証しました。

検証の条件
  • 用紙サイズ:A4(4093×2894[pixel] )
  • 用紙解像度:350dpi
  • 筆圧検知レベル:初期設定(画像参照)
  • ペン:Gペン
  • 手振れ補正:6
筆圧検知レベル初期設定(左:Mac版、右:iPad版)

結論から言いますと、正直なところ体感では差が感じられませんでした。

検証の際には、『文字を書く』、『決まった長さの直線を引く』、『円を描く』といった様々な動作で比較をしてみましたが、書き味はほぼ変わらないという印象です。

iPad版クリスタの方が若干滑らかかな?と思わなくもなかったですが、これはiPad版クリスタを今まで使ってきたことによる慣れの要素が大きいからだと思われます。

遅延はどちらもほぼ感じられないため、筆圧等の調整により個人の好みに即した描き味に変えられるのではと感じました。

最後に

今回は、Sidecarを利用した新型MacBook AirとiPad Proでのクリスタお絵描き環境についてレビューをしました。

総評としては、

『気になる点はいずれも慣れによる要素が大きく、メリットを考慮すると十分メインとしての実用可能範囲』

とさせていただきます。

また、レビューでは触れませんでしたが、ファンレスで静かにも関わらず、発熱が全くなかったのも評価できるポイントだと感じています。

私が個人的に使ってみて感じた点については全て記載したつもりですが、この記事を読んで「もっとここが知りたい」だとか、「これってMac版クリスタでもできるの?」といった感想を持たれた方がいるかもしれません。

もしそのような疑問や感想を持たれた方がいましたら、ぜひブログのコメントやTwitterのリプライではしゅに対して発信してみてください。

Apple信者歴7年のはしゅが誠意を持ってお答えします。

以上になります。最後まで読んでいただきありがとうございました。

コメント

  1. tkcn より:

    コメント拾っていただきありがとうございます。レビュー見させていただきました。
    とても参考になりました。デメリットのレビューをいろいろ見かけていましたが、メリットも十分にあるという意見が特に助かりました。
    メリットは十分にあるが、新規にMacBookを買って構築するかは財布事情と相談になりそうです。今回を機にMacを買ってみようかと思ってましたが、気長に検討します。

    • はしゅ より:

      tkcn様、コメントありがとうございます。
      私としてもレビューするにあたってtkcn様の意見が非常に参考になったので、良い反応をしていただいたこと嬉しく思います。
      この記事の内容がtkcn様の判断材料になりましたら幸いです。
      追加で知りたいこと等ありましたら気軽にコメントしてください。

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